History


1987年にイタリア本国で発表されたアルファロメオのフラッグシップモデル、それがALFA164だ。

1987年にイタリア本国で発表されたアルファロメオのフラッグシップモデル、それがALFA164だ。開発当初、アルファロメオはイタリア産業復興公社(IRI)の支配下にあったが、深刻な経営不振にあえいでいた。ALFA 75を1984年に何とかリリースしたアルファロメオではあるが、そのシャーシはアルフェッタ以来のキャリーオーバーであった。また長年空白となっているアッパーミドルクラスを埋める必要に迫られていたアルファロメオは最後の賭けに出るかのように全くの新型車を投入すべく開発に着手する。しかしアルファロメオの財政難は悪化する一方であり、結局のところアルファロメオ単独での開発は叶わず、当初FRレイアウトで計画されていたALFA164は、ランチア(テーマ)/サーブ(9000)/フィアット(クロマ)との共同開発プロジェクト、いわゆるTipo4プロジェクトに参加するに至り、FFレイアウトへと設計変更を余儀なくされる。

しかし駆動方式こそ他3社の推すFFを採用するも、アルファロメオの独自性は充分打ち出されることになる。その最たるものがピニンファリーナ(メインデザイナーはエンリコ・フミア氏)に委ねられた優美かつ躍動感に溢れたスタイリングであろう。ノーズはよりスラントし、ウィンドウシールドの傾斜も強くなっている。またエンジン搭載位置を下げるためフロントサスペンション、さらにドアなども他の兄弟車と異なり完全にオリジナルなものとなっている。 これらのエンリコ・フミア氏よりの強い要望により実現した、その卓越したスタイリングは1988年度 トリノ・ピエモンテデザイン賞受賞の栄誉に輝いた。また遅れてプロジェクトに参加したおかげで、先行車種に対する市場からのボディ剛性不足の声もフィードバックされ、しかるべき対策が打たれている。


発表直前の1986年、アルファロメオは結局フィアットアウトに買収され、アルファ・ランチア・インダストリアーレというフィアット傘下の民間企業となる(1990年にはフィアットアウト社に完全吸収)。だがこれも164にとっては悪いことばかりではなく、そのフィアットが発売前に徹底的なリファインを加えたことにより、組立品質のばらつきが大きく減じられ、品質向上に大いに貢献する結果となった。

このような紆余曲折を経てALFA164はアルファロメオの大きな期待を背に、1987年フランクフルトショーでついにデビューを果たす。エンジンラインナップはアルファオリジナルの2リッターツインスパーク、VM製2.5リッターディーゼルターボ、そして日本に唯一導入されたアルファオリジナルの3リッターV6という構成となる。またその後1988年にランチアテーマターボ用フィアット製2リッターターボも追加となった。日本導入は本国発表から遅れること約1年半、当時のインポーターである株式会社大沢商会 アルファロメオ事業部を通じて輸入され、大沢自動車販売株式会社ネットワークとコーンズモータース・ネットワーク系列で1989年4月に3.0V6モデルが発売された。


ここからは日本導入モデルの変遷を追ってみたい。発売当初は3リッターV6エンジン、ATモデル単一車種構成だった(内装が革のTop Versionもあり)が、1990年11月にマニュアルミッション搭載、エンジンにライトチューンを施したスポーティーバージョンのクアドリフォリオ(QV)を追加。翌年ATモデルもエンジン搭載位置の見直しなど小改良を実施(164L)。1993年、パッシヴセーフティ強化を主な目的にボディを強化し、DOHC24バルブエンジンを搭載したスーパーを投入、従来の12バルブモデルはフェイスリフトなどの小改良を受ける(164FL)。

そして1994年、走行性能の極限を追求した超弩級スポーツサルーンとしてQ4が登場する。これは1991年ジュネーブショーに出品されたコンセプトカー“プロテオ”に搭載された独自の4WDシステム(シュタイヤープフ社と共同開発)とゲトラグ社製の6MTを搭載した他に類を見ないモデルであった。1995年には小改良とともにスーパーがスーパー24Vとなり、ノーマルボディのFLが消えてスーパーボディのスーパー12Vとなる。またQ4も小改良を受ける。


ALFA164は登場以来およそ10年間、アルファロメオのフラッグシップモデルとしての重責を果たし、1998年に生産を終了した。その後は系譜上の後継車たるALFA166にバトンを渡すこととなる。この約10年間という期間においてはセールスも概ね堅調で、生産終了の時点でアルファロメオ史上最多量販車種であった事実はあまり知られていない。同時期に日本ではDTMイメージで好評を博したALFA155も、欧州のセールスはパッとしなかった事を考えれば、ALFA164無しには現在のアルファロメオは存在し得なかったと言っても過言では無かろう。最多量販車種という称号はALFA156やALFA147に譲るとしても、アルファロメオのベルリーナ(セダン)の歴史においてALFA164の果たした役割は決して小さくない。

我々アルファ164オーナーズクラブはALFA164をこよなく愛し、維持し、走ることでこの名車の存在を世にアピールしていきたいと思う。時の流れに抗えなくなる日はやがて訪れるであろうが、その日まで我々はこの名車に対して畏敬の念と親愛の情を捧げ続けていくことであろう。